タバコの臭い

辺りを見渡すが人影はなく、タバコの煙も見られない。
周辺の民家の窓はみな閉まっていて、まだカーテンすら開いていない。
間違いなくそれはタバコの匂いであるが、タバコを吸っている輩が見当たらないとはどうゆうことだ!? と、不快さと不可解さが入り混じった状態ではあったが、気を取り直してまた走り始めた。 一瞬ではあるが、体の中に取り込んでしまった有害物質を排除せねば気が済まぬ!
 そう思い、深呼吸をして更に進むと、10mほど行った次の曲がり角でまたタバコの匂いに襲われた。 正確には、タバコの匂いの中に突っ込んでしまったのだが。
今度はさっきよりも強烈だ。 息を止めて目を見開き辺りを見渡す。
“だれだ!こんな悪質は悪戯をするやつは!”“人がわざわざ綺麗な空気を吸う為にこんな時間に走っているというのに、・・貴重な朝の空気を汚しおって!”
 見ると、私の立っている曲がり角からさらに10mほど先に、背中を丸めて千鳥足でフラフラと歩いているサラリーマンがいた。